エコキュートとは

エコキュートは電気給湯器のひとつで、おもにオール電化住宅に採用される給湯設備です。オール電化住宅の給湯設備は数年前までは圧倒的に電気温水器が採用されていましたが、最近ではエコキュートの人気が高まっていて、新規採用率では電気温水器をおそらく追い抜いているはずです。これから新築やリフォームを考えている方も、給湯設備にはエコキュートをと考えていると思いますが、エコキュートがどのようにお湯をつくるのか、また電気温水器に比べてどうしてエコなのかなど、今ひとつよく分からないという方も多いのではないでしょうか。ここでは、エコキュートの基本的な特徴などを分かりやすくお伝えしていきますので、先々この給湯器をご自宅に導入する際の参考にしていただければと思います。

ところで、エコキュートというのは商品名なの?といった単純な疑問を感じている方もいるのではないでしょうか。じつはエコキュートの正式名称ですが「自然冷媒ヒートポンプ給湯器」と言います。なお、ここで「自然冷媒」という言葉と「ヒートポンプ」という言葉が出てきましたが、このふたつの言葉は、エコキュートを正しく理解する上でかならず登場してくるキーワードですから、頭の隅に置いておいてください。

エコキュートは関西電力の登録商標で、各メーカーから製造販売されている、同じ仕組みを持つ電気給湯器を、この愛称で呼んでいる訳です。ただしおなじ仕組みを持つヒートポンプ給湯器でも、使われている冷媒が二酸化炭素でなければ、エコキュートというネーミングは使えないことになっています。これは一見、消費者にとってはどうでも良いことのように感じますが、ヒートポンプ給湯器にはCO2以外にも、エアコンに使われているR410Aという冷媒もあるということを知っておくと良いと思います。

ちなみに地球温暖化指数の上では、CO2のほうがR410Aより圧倒的に環境にやさしい冷媒といえますが、R410Aもオゾン層を破壊することのない環境に配慮されたガスですので、CO2冷媒でなくてもとくに危険視する必要はありません。どちらの冷媒が使われていても、同じ仕組みを持つヒートポンプ給湯器と考えて良いでしょう。

 

気になる価格について

エコキュートは、電気温水器にかわってオール電化住宅の定番給湯器となったものですから、比較的新しい設備だと受け取られがちです。ただし商品化されたのは2001年のことですから、それほど新しい機械でもありません。もちろん長い歴史を持つ電気温水器に比べれば新しいものであることは間違いありませんが、発表されて間もないということではないのですね。

それではなぜ電気効率の高い給湯器でありながら、長いあいだ電気温水器からその座を奪えなかったかと言えば、価格が電気温水器に比べて少々高いということがそのおもな理由です。それが、ここ数年でローコスト系の住宅が台頭し、オール電化仕様でも坪40万円台で工事を請負う業者が増えたこともあって、施主は設備面でのグレードアップに予算を割くことができるようになり、価格でワンランク上のエコキュートの採用率が高まっていったという背景があります。もちろんランニングコストが抑えられる点や、環境により配慮された設備であるという点も、エコキュートの採用率を高めている理由のひとつですが、何よりも住宅の工事単価自体のデフレ化が進んだことはかなり影響していると思います。それと、見積もりをとってみるとわかりますが、エコキュートはそれほど高くないのですね。ですから、実際見積もりをとって工事費込みの値段が分かった方が増えたことも、エコキュートの普及が急に進んだ理由だと思います。

電気温水器でもフルオートタイプだと材工価格で50万円前後になりますが、エコキュートでいちばん一般的なフルオート1缶式460Lタイプは60万円台で導入できますので、値開きとしては10万円~15万円程度な訳です。キッチンの扉やレンジフードをグレードアップすればその差額はもっと跳ね上がりますから、電気温水器をエコキュートにチェンジする程度なら、それほど手痛い追加金額にはならないと考えて良いでしょう。なお、エコキュートでも多機能型といって、床暖房用の温水を供給する機能や、浴室の暖房・乾燥機能を持つ機種になるともう少し価格が高くなります。エコキュートの価格を比較する際は、多機能タイプ、フルオート(1缶式・2缶式)、セミオート、給湯専用など機能別に見ることと、もちろん貯め湯缶の大きさ(370Lや460Lなど)でも価格が違うと言うことを頭に入れておきましょう。

 

耐用年数はどれくらいですか?

エコキュートは製品化されてから10年ほどの設備だけに、耐用年数は気になるところですよね。エコキュートの耐用年数を設計寿命で言うと、まず10年です。ただし、ヒートポンプユニット以外の部分に関しては電気温水器同様15年以上と考えて差し支えないでしょう。やはり問題はヒートポンプユニットになるわけですね。ちなみにエコキュートのメーカーの保証期間を見ると、タンクは5年間、熱交換器・コンプレッサーは3年間、本体は2年間といったところです。大手ハウスメーカーで工事した場合は、ハウスメーカー独自の保証書が発行され、メーカー保証より長めに保証期間が設定されている場合がありますので、建築の相談をする場合に確認してみると良いでしょう。

なお室外機の寿命は、冷媒回路に異常がでない前提で3万時間程度と言われており、10年~15年で取り替える時期がやってきます。このぐらい長期間ノーメンテでいけるなら御の字ですが、保証期間を過ぎてから冷媒回路が故障した場合は、修理がきかずヒートポンプユニットをそっくり交換するとになるので、その場合は数十万円の費用を負担しなければなりません。こういった最悪の事態を回避するには、故障の少ないメーカーを厳しく選択するか、R410A冷媒を使用しているヒートポンプ型給湯器を選択する以外に方法がありません。補助金の有無よりもメンテナンスを第一に考えるなら、R410A冷媒の機種も検討機種に含めてみてはいかがでしょうか。

 

メリットデメリットについて

これまでのエントリーでもエコキュートのメリットはいくつもでてきていますが、もう一度整理しながら、そのデメリットについても言及してみたいと思います。まず、ヒートポンプ型の給湯器であることから、ランニングコストが大幅に抑えられることですね。これはエコキュートの最大の魅力だと言って良いと思います。また同じ理由で、熱源を100%電気に頼っていないので、化石燃料が高騰しても、その影響は電気ヒーター型の給湯器に比べてある程度回避できる点もメリットです。また多機能化が進んでいるので、住宅の性能をしっかり確保すれば、そのお湯を暖房用にも利用できることもエコキュートの魅力です。化石燃料の高騰に弱い蓄熱式電気暖房器から脱却する場合は、ヒートポンプ温水暖房がいちばん注目されているところです。なおこの手の暖房システムでは、三菱の「エコヌクール」というヒートポンプ温水暖房システムが現場実績も多く人気があります。暖房もヒートポンプで考えている方は検討してみてください。

それとこれは電気温水器にも言えるのですが、貯め湯式のエコキュートは瞬間湯沸かし式の給湯器よりお湯が柔らかく感じられます。災害時などに缶に残っているお湯を取り出して利用できることもメリットと言えるでしょう。

それでは次にデメリットについてです。エコキュートは貯め湯缶だけでなく室外機の設置スペースも考慮しなければいけない点は、ややマイナスポイントです。とくに敷地が狭く、いわゆる狭小住宅の場合は、間取りや外部の計画で苦労するところです。そして室外機の音が隣家に迷惑にならないような設置場所を考える必要もあるでしょう。室外機の音の大きさは40db程度ですから、窓を閉めているなら気にならないですが、夏場窓を開放している時は少し心配です。あとからの場所移動が難しいだけに、計画段階で注意が必要です。

そしてこれが最大のデメリットになると思いますが、冷媒回路が故障した場合は修理ができず、ヒートポンプユニットをそっくり交換することになる点です。エコキュートはCO2冷媒を使っているため、圧縮圧力が非常に高く、現地での修理を行わないことになっているのです。なお、使用冷媒がエアコンの室外機と同じR410A冷媒なら現場修理が可能です。エコキュートと違って補助金が出ませんが、メインテンス性を優先するなら検討候補に入れておくと良いのではないでしょうか。

以上のメリット・デメリットを十分ご検討の上、導入をお考えのお客様は、どうぞ当社までお気軽にご連絡下さい。ご不明な点なども含め、詳しくご説明させて頂きます。